パーマン1巻 藤子・F・不二雄大全集
1967年開始だけあって古さはいなめませんが、ギャグとは言えヒーロー漫画で、毎週読みきり形式で連載していたのだから、スゴイですよね。
それでは気になったお話をピックアップ。
パーマン誕生
ちょっとびっくりしましたね。第一話がこれでいいのか?っていうくらいアバウトな展開で、主人公のみつ夫がパーマンになります。
バードマン(この時点ではスーパーマンと名乗っています)が居眠りしてしまい、ヒーローになる人物をさがすノルマを達成できなそうだから、たまたま近くにいたみつ夫にパーマンセットをたくします。
こんな適当な感じなのに、パーマンの正体がバレたら動物にするって、冷静に考えるととんでもないやつですね、バードマン。
わたしの命はねらわれている?
パーやんが大富豪の人間不信をなおす話です。パーやんは家族の絆を取り戻させるため、わざと憎まれるようにふるまいます。
やさしく機転のきく男ですね、パーやんは。パーマンの作中のみならず、藤子キャラ全般の中でもトップクラスで頼りになる男ではないでしょうか。余談ですが大人向けの藤子漫画「中年スーパーマン左江内氏」の最終話でもパーやんは登場し、左江内氏を導きます。
パーやん、かっけぇ…
生きうめパーマン
パーマンたちが建設中の銀行の鉄骨をジャングルジムにして、鬼ごっこ遊びしていたら、悪いやつらのたくらみに巻き込まれるエピソードです。
多くの藤子作品ではヒロインはたしなめる役ですが、パー子はいっしょになって鉄骨で鬼ごっこするのが新鮮でした。U子さんタイプですかね?
おてんばでかわいいと思いました。この巻収録の「やさしいやさしい女の子」では料理や裁縫の腕が残念なのも発覚します。でも、それがいいんです。
かわいいゼ、パー子!
パーマンがけっこう苦戦するエピソードで、それもなかなか新鮮でした。
パーマン全員集合!!
バードマンは適当ではなく、じつはきちんとパーマンにふさわしい人材を選んでいたというあとづけ…じゃなくて、衝撃の事実が明かされます。パーマンセット(この時点では制服とよんでいます)を奪われ、動物にされそうなミツオを助けるため、ほかの3人のパーマンが奮闘する読み応えのあるエピソードです。
ここでもパーやんの機転が決め手となります。くつろいでいるように見えて、実は情報収集しているとは、パーやんはほんと頼りになる男です。
コピーロボットの反乱
コピーロボットがみつ夫くんに嫌なことばかりやらされるので、みつ夫をこらしめようとする話です。
自分の鼻を白く塗ってみつ夫の鼻を黒く塗り、みつ夫がコピーロボットだと勘違いさせます。記憶を共有してるので、勘違いしているのだといった具合に言いくるめます。このアイデアって膨らませたら、けっこう怖い話になりますよね。
藤子・F・不二雄先生のSF短編で「俺と俺と俺」という自分のクローンができる話がありますが、希望の持てる明るい話でした。
そういうのではなく、ドラえもんの自分の影と入れかわるエピソードみたいに自分がクローンと入れかわるんじゃないか、あるいはもう入れかわっているのではないかという恐怖を先生が描いたら、かなりスゴイ作品になったのではないか。そんなふうに思いました。