ロシア紅茶の謎 有栖川有栖 感想
有栖川有栖の短編集です。国名シリーズの第1作目にあたります。さくさく読めるので気軽に手にできますね。全6編の感想を簡単にですが、書いていきます。
ネタバレもあるので未読の方は注意してください。
動物園の暗号
動物園の鳴き真似が得意という特殊スキル持ちのアニマル岡田という容疑者がいましたが、事件に何も関係なかったです。思わせぶりなヤツだったな、と。動物園を舞台にして、この特殊スキル持ちの容疑者がいたらけっこう話広げられそうですよね。
屋根裏の散歩者
動物園の暗号と同じく暗号を解くことが犯人を見つけることとイコールになっています。ユーモアのある暗号だったと思います。なぞなぞのようでした。
赤い稲妻
雷鳴が轟く中、向かいのマンションで女性が転落するところを目撃してしまうとか、弁護士の愛人と妻が同時に不可解な死をとげるというシュチュエーションがよかったですね。質の高いエピソードだと思います。
ルーンの導き
この短編集の中でこれだけやけにクオリティが低い印象を受けました。思わせぶりにルーン文字について描かれていますが、ルーンじゃなくても碁石だろうがチェスのコマでもダイイングメッセージは成立しますからね。本の後ろの初出誌一覧を見ると、歴史読本の掲載作品だったようなので、企画に合わせて無理やり作劇したのではないかと邪推してしまいました。
ロシア紅茶の謎
表題作です。ジャムを入れた紅茶をロシア紅茶って言うんですね。知りませんでした。わざわざロシア紅茶ってタイトルをつけるのだから、ジャムに何か仕掛けてあるのかと思ったら、そうではなかったです。トリックはまるでわかりませんでしたが、犯人はなんとなく察しがつきました。その人物を気合を入れて描いているように感じましたし、恋愛の曲を作ってる作詞家が被害者だったので。火村が大した度胸だと犯行を評していましたが、魅力のある犯人でした。
八角形の罠
この短編集で一番楽しめたエピソードです。ミステリーと劇場の相性は抜群ですね。シュチュエーションだけで興味をひかれます。短編ながら続けて2つの事件が起こるので読み応えがありました。