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妹さえいればいい12巻 感想

ひさしぶりに「妹さえいればいい」の感想です。
海津とアシュリーがくっついてよかった。海津の生き様がすごくカッコイイと思うんですよ。この人ってヒット作を書けなくても、作家を何年もやってるんだから、才能がないわけではないじゃないですか。ただガチの天才がまわりにいくらでもいるから、相対的に凡人に見えるだけで。

……あいつの葬式のとき誓ったんだよ。俺は一生、しみったれた作品を書き続けてこの世界にのうのうと居座り続けてやるって。……才能のカケラもない、大ヒット作とも誰かの人生を変えるような傑作とも無縁な平凡な作家が、それでも平気な顔して生きていることで、才能と感受性豊かな後輩たちに『こんなんでもいいんだ。もっとお気楽に生きていけばいいんだ』ってことを示し続けてやる―ってな

孤独な戦いですよね。
だから、そばにいてくれる人ができて本当によかったと思います。この二人の関係が魅力的なのと比べると、12巻の後半で伊月と那由多がヨリを戻すのは軽く感じましたね。
海津とアシュリーは失った者同士ですし、海津に関しては持たざるものじゃないですか。それに比べると伊月と那由多は失ってもいないし、それどころか才能を持ってる者同士、若くして成功した者同士なんですよね。読者に訴えてくる重みが違いすぎるというか…
話の展開もアシュリーに気のある後輩が現れるのに対し、那由多に気がある役者が現れたりと似通ってて、このふた組のカップルはなんか比べてしまうんですよ。わざと対比してるように描いているのかな?
まだ伊月が「俺が主人公になるまでは、那由多とは付き合わない」とか言ってるうちは感情移入できたんですけどね。いまでは「主人公にはなれない」とか言ってると、何言ってんだこいつ。みたいな感覚になっちゃうんですよね。以前もブログに書きましたけど伊月は感情移入しづらいんですよ。

nakanet.hatenablog.com


これ言っちゃうと野暮ですが、小説の主人公が「俺は主人公になれない」とかいっても「は?」って感じあるじゃないですか。
主人公「俺は主人公にはなれない」
ですよ。
OPの最初のフレーズで「アニメじゃない」とか言ってるアニメとか、平成で一番売れた曲なのに「ナンバー1にならなくてもいい」とか言ってるようなもんですよ。どっちもいい曲ですけどね。
伊月と那由多を見てると、むかしままごと婚とか言われた芸能人カップルを思い出しますわ。
……後半ボロカス言いましたが、好きな作品なんですよ。
海津と不破くんはめちゃくちゃ応援したくなりますし、いろんな作家の生き様が魅力的な作品だと思うので読み続けます。