漫画、小説、映画などの感想

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麒麟の翼 映画 感想

「祈りの幕が下りる時」を観たら、本作をまた観たくなったので再視聴しました。
父子をテーマにした良作ですね。事件被害者の親子関係と主人公の父子関係が重なります。
物語は被害者が腹部を刺された状態で、犯行現場から日本橋の麒麟像まで歩き、そこで力尽きるところから始まります。推理ものの導入部分としては最高の部類ですね。
彼を刺したのは誰なのか?なぜ麒麟像まで歩いたのか?という謎を提示しつつ、視覚的にもインパクトを持たせ、冒頭から一気にストーリーに引き込むことに成功しています。


ここから先はネタバレなので未見の人は注意してください。


物語の構成は、被害者の務める会社の派遣社員による、労災隠しとリストラの恨みを動機とした犯行であると、観る側をミスリードする作りとなっています。推理ものではよくあるパターンですね。しかし、被害者は労災隠しなどしておらず、事件は振り出しに戻ります。被害者の長男の父に対する心境の変化から、事件の真相は別にあると感じた主人公は3年前、長男の中学校で起きた水難事件にたどり着く、というのがおおまかなあらすじです。
贖罪などもテーマに絡んできて、見ごたえがある展開でした。
難をいえば、容疑者と思われていた元・派遣社員が事件に遭遇したのは、たまたま求職中に被害者を見かけたという偶然にたよった部分ですかね。人間ドラマメインのストーリーなので、そこまで気にするようなことでもないのかもしれませんが。